マダアツイ

父子家庭へ遺族基礎年金が拡充された経緯と背景 村上吉宣
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120913-00000301-opinoobi-l04

この記事にあった「災害で行方不明となった人の家族が遺族年金などを受け取るには、災害から1年が経過している必要があるが、平成23年5月2日に成立した特別財政援助法では、震災後3カ月で死亡と推定できる」というのは「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」の第99条のことかなと思われます。

国民年金法の死亡に係る給付の支給に関する規定の適用の特例)
第99条 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害により行方不明となった者の生死が3月間分からない場合又はその者の死亡が3月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期が分からない場合には、国民年金法の死亡に係る給付の支給に関する規定の適用については、同日に、その者は、死亡したものと推定する。

もともと死亡の推定という条文が各年金法にはあって、船舶沈没や飛行機墜落とかそういった事例は、行方不明になった時点から3月経ったらその者は「死亡したと推定」して遺族給付を支給してあげるというものです。民法上の危難失踪が「1年行方不明」という要件ですので、法律上の死亡が確定していないのですが「死亡したと推定」するものです。
で、この第99条の規定はそうした要件に「震災で行方不明になった者」を加えてあげるだけのものなわけです。

ただ、この人が願っていた「遺族年金の父子家庭への支給」と「震災で行方不明になって3月経過したら遺族年金が支給」というのは、少し次元が違う話なのかなと感じているところです。
後者は当然ながら「震災に限って」のものですが、前者は明らかに恒久的な制度の変更になってきます。では、「震災に限っての父子家庭への遺族年金支給」というのはどうでしょうか。これも当時は難しかったのかなという気がします。
当時はとにかく早く特例法を成立させることが命題でしたから、そんなときに過去に例のない「父子への遺族年金」は議論する余裕がなかったのではないかと思われます。

いずれにせよ遺族給付は女性に厚く男性に厳しい制度になっているので、父子家庭にも遺族基礎年金が出るようになることは良いことだと思われます。
今後、支給要件や支給開始年齢などで男女の差がなくなっていくことを望みますよ。